西田が脱サラして整体で起業する大きなきっかけとなった本です。西田は、著者の高岡英夫師には多大なる影響を受けており、自律神経整体の技術理論の多くは、高岡師の教えを根拠にしています。以下、本書に関して、2006年3月11日に執筆したブログから転載いたします(一部修正を加えています)。
https://hotshark.exblog.jp/3321881/
合気道の技を追究していく過程で、身体をゆるめることが重要であることは、体験上わかっていた。先生(合気道の先生)に技をかけていただくとわかるのだが、どこからくるかわからない力が複数方向(おそらく3方向以上)に作用し、崩されてしまう。ああいう技をしようとしたら身体をバラバラに運用する必要があり、身体が固いと絶対にできない。
この本の著者である高岡先生は、運動科学者であるとともに、武術家でもある。ご自身が幼少の頃から武術の稽古を重ねられて、その過程で身体をゆるめることの重要性を見出したとされている。先生は、運動科学者として多数著書を出されているが、この著書は「生き方」にまで言及した数少ないものであると思う。
この著書のプロローグは、“なぜ多くの日本人が「幸せ」だと感じられないのか?”からはじまる。そして、“幸せはゆるむことから始まる”と続く。
幸せとは何か、なぜ身体をゆるませることが大切なのか、身体をゆるませるとどうなるのか、なぜそれが幸せにつながるのか、身体をゆるませるにはどうすればよいのか、それがわかりやすく著してある。身体をゆるませることにより、身体意識が正しく鍛錬され、気の循環が活発になり、魂の幸福感が得られやすくなるという。
おそらくは、身体をゆるませるとは、身体が本来あるべき姿に戻るということであると思う。それにより、宇宙の流れに自然かつ素直にのることができ、自分が生まれてきたわけを悟ったり、そのための力を受け取りやすくなる。僕は、身体をゆるめることをそのようにとらえている。また、合気道の稽古を「よりよく生きるための具体的なメソッド」と考えている。
なお、重要な身体意識として、センター、リバース、レーザー、ベスト、裏転子、三つの丹田(上丹田、中丹田、下丹田)を取り上げてある。それらがなぜ重要か、身体動作にどう影響するか、日常生活にどう影響するか、それらをどう鍛錬すればよいのかも、説明されている。
僕も合気道の稽古を通じて、ここであげられているセンターとレーザー、そして下丹田が重要であることは認識していた。今回、この著書を読むことにより、今まで漠然と感じていたことや、漫然とやっていたことに対して、より具体的な裏づけと指針が与えられたように思う。なお、高岡先生も合気(合気道とは書いておられない)をやられるそうだ。
次のひとことに、この著書を通じての先生の思いがよくあらわれていると思う。以下、p.252より引用させていただく。
四方八方無理だらけの地球━社会環境の中に生きていては、まずはこれ以上身近な存在はないというほどの身近な存在である「身体」から入り、そこでなすべき問題解決をなし、そこから「意識」と通って「気」に至り、さらに「精神」の問題解決へと向かう試みもあってよいのではないか、ということで語ってみたのが、本書ということになるでしょう。
いずれにしても、おもしろくて、久しぶりに一気読みをした著書であった。
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