武術と整体術の関係

少なくとも私が実践提唱する整体術のルーツは、武術にあると考えている。

日本において、数百年前(少なくとも江戸時代以前)は、「武医同源」という言葉が残っているように、武芸者が医者を兼ねていたという説がある。武芸者は、我が身を守るため、また敵を無力化するため、人間を研究し尽くしており、そこで得た知見や技術を殺傷と治療の両方に使っていたのであろう。

中でも日本伝統武術の極意である「合氣」は、整体術と大いに関係があると考えている。その肝要は、接点から相手の身体の状態やエネルギーの流れを鋭敏に察知し、相手に気づかれることなく無力化することである。

参考として、添付の映像をご覧になって欲しい。私の師匠が修行を積んだ福岡にある道場において、20年近く前に撮影された錦戸師範(師匠の師匠)による演武(稽古風景)である。

音声が聞き取りにくいので、はっきりとは言えないが、錦戸師範は、攻撃を仕掛けられた接点で瞬時に相手を感じ取り、力を奪い、相手を崩したり、投げたりしているように見える。ちなみに、映像の1分20秒あたりで、前蹴りで攻撃を仕掛けている人物は、私の師匠のようである。

実際に無力化されたり、投げられたりするとわかるが、なぜそうなったのかわからず、笑いさえこみ上げてくる。ぶつかることなく、争いを生まず、憎しみや敵意さえ消してしまう。それは、とても日本的な思想であり、技術であると考えており、「合氣」は私たちが守るべき大切な財産であると確信している。

ごく優しい刺激で、神経交通の健正化と体液・エネルギーの循環を活性する私たちの整体術は、この合氣がルーツであると思えてならない。武術は相手を無力化するために、整体術は相手を活性するために、この技術を駆使しているのではないかと思う。

いずれにせよ、激動する世界の中で、日本という国が生き残っていくためには、伝統文化や芸能を継承することが必要不可欠と考えている。その小さな担い手として、武術(大東流合氣柔術)と整体術の探究と研鑽を積むことができるのは、私にとっては、とても大きな喜びであり、生きがいであり、使命とすら考えている。

執筆者プロフィール

西田 聡
西田 聡心身楽々堂 代表
1960年、大阪生まれ。2008年、47歳の時に、突如、24年間勤務した会社を辞し、整体師に転身することを決意。多額の住宅ローンを抱え、当時高一と中二、二人の息子がいる身で脱サラし、未経験の仕事で起業するなど狂気の沙汰と、周囲の誰もが猛反対する。しかし、耳を貸さず、整体院の独立開業を断行。案の定、失敗、挫折、絶望の連続で、辛酸をなめ尽くすが、ぎりぎりのところで踏み止まる。修得した整体手技療法を基盤に、合氣道修行で得た心身修養の精髄を加味した「心整体法」を着想。病院で治らない慢性疾患や自律神経失調症専門の整体院という独自路線を歩み、自力で整体院経営を軌道にのせる。組織に依存せず、束縛されず、自分の良心や信念をいっさい曲げることなく、己の身一つでサラリーマン時代を大きく超える収入が得られることを証明する。その経験を生かし、脱サラ・起業に特化した整体塾を主宰。まったくの未経験者を「オンリーワンの整体師」に育てあげることについては、日本一の手腕を持つと自負する。これまでに200名以上を指導、50名を超える整体師を輩出する。現役の整体師を続けながら、大阪府枚方市、千葉県船橋市を拠点にして後進を育成。また、各地で一般の方に向けたセミナーや体験会を開催し、癒しの人間学「心整体法」を伝えている。

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